よく、「音痴は生まれつき」、「音痴は遺伝」、「音痴は先天性のもの」という話を耳にしませんか?
自分のことを音痴だと感じている人は、このように思っている人が多いと思います。
はたして本当に音痴は生まれつきや遺伝など、先天性のものなのでしょうか?
今回は、音痴が先天的なものなのか後天的なものなのか、またその要因などを、より深くご紹介してまいります。
音痴は先天性?それとも後天性?
そもそも先天性や後天性とはどういったことなのでしょうか。
なんとなく想像は付くかと思いますが、先天性とは生まれたときにすでに備わっていることや生まれつきにそうであることを指します。
逆に、後天性とは生まれたときは通常であったものの、生活をしているうちに事故や環境などさまざまな要因で、そうなってしまったことを指します。
では音痴は先天的なものなのでしょうか。それとも後天的なものなのでしょうか。
結論、音痴の人の8割は、後天的だと言われています。
後天的な音痴の人は運動性音痴にあたり、正しい音程はわかっているがそれを上手く出すことができなかったり、頭で音程は浮かんでいるのに、声に出すと音程が合っていないというのが特徴です。
先天的な音痴の人は感受性音痴にあたり、正しい音程を聴いてもその音程がわからない、覚えられない、違いがわからないなど、音程の認識自体が曖昧です。そのため、実際に声に出すと音程が合わないというのが特徴です。
では、音程がわからないのはなぜなのでしょうか。
今回は先天性の音痴についてスポットをあててご説明致します。
先天性の音痴になる原因ってなに?
先天性というからには、やはり遺伝…?先天的な音痴の要因とは、なんなのでしょうか。
遺伝とは、ひと言でいうと親が持った性質を子供が受け継ぐことを言いますよね。率直に言ってしまうと、音痴は遺伝ではありません。
ただ、親が音痴だと子供も音痴という話はよく耳にします。それはなぜでしょうか。
子供は3歳ごろからさまざまな感覚を覚え成長していくと言われています。もちろん生まれたときから耳は聞こえていますので、そこから6歳ごろまでが『耳の黄金期』と呼ばれており、耳の機能が形成される期間といわれています。
この時期に、周りのさまざまな音や声、音楽(音感)を吸収し、聴きとる音を固定化していきます。10歳ごろには耳の機能は完成され、それ以降は培ってきた感覚により、さまざまな経験を通して育っていくのです。
ですので、主に『耳の黄金期』といわれる時期に、どれだけ多くの音楽に触れ、正しい音感を吸収し、耳を育ててきたか。ということがポイントになります。いわばそれまでの経験値です。
こうして正しい音程を取得できず、そもそもの正しい音程がわからなかったり、曲を聴いても正しい音程を覚えられなかったり、音程が違うことがわからなかったりしてしまいます。
また、中には直接的な原因として、物理的に音痴な場合もあります。
例えば生活する分にはなんら支障がないのに、音程がズレて聴こえる軽度の難聴です。
この場合、生活する分には支障がないため気付いていない人も多く、音程を合わせようと思ってもあわなかったり、もちろん音程がわからなかったり…また、自分はあってると思っているのに周りに音痴だと言われたり…そういった人は先天性の音痴の可能性が高いです。
それでは、先天性の音痴は治すことができないのでしょうか。
後天性の音痴に比べると時間も必要ですし、大変ではありますが努力することはできます。
先天的な音痴の人のトレーニング法とは?
先ほどもお伝えした通り、先天的な音痴の人の特徴は、
・正しい音程がわからない
・正しい音程を覚えられない
・音程があっているのかわからない
と大きく分けて3点です。重要なのは音程を覚えるということです。
音程の感覚が劣っているので、音程の感覚を身体に染み込ませるしかありません。
1.楽器を用意
まずは音階のある楽器を用意しましょう。
正しい音程を聴く必要があるので音程のズレることのない電子ピアノがおすすめです。用意が難しい人はピアノのアプリでもよいですが、アプリによっては音程が完璧ではないので注意が必要です。
2.ドの音を聴き込む
そしてドの音を1音、何度も何度も聴きましょう。
手伝ってくれる人がいるのであれば弾いてもらい聴き、たまに違う音を弾いてまたドを弾くのように違いがわかるまで繰り返します。
3.ドの音がどれが当ててみる
慣れてきたらランダムでドとド以外の音を弾き、ドの音かどうか当ててみましょう。
このとき、ド以外の音は多くても2音までにしてください。そして、間違えることが多ければ2.の練習に戻ってまた3.の練習をする…のように繰り返します。
4.同じよう事をレ以降でも練習する
ドの音をマスターしたら次はレの音を練習します。
1~3を繰り返し次はミ、といった具合に1音ずつ確実にマスターしていきます。
5.音を組み合わせたり、様々な高さの音程でも練習する
ド~シまでマスターできたら、2音ずつで練習したり高さを変えて練習したり…完璧に音程を覚えるまでさまざまなパターンで練習してみましょう。
気が遠くなるほどの練習ですし、苦労も多いですが、繰り返し練習することにより音程を覚えることができ、音程がわからないということが克服できます。
以上ここまで、音痴とは先天的なものなのか、その要因についてご紹介させていただきました。
大変な練習をすることで、音楽がより苦手なものになってはいけないので、無理はせずに楽しむことを前提に、そしてなにより音楽がより楽しいものになれば幸いです。